はじめに
「次の子は、まだ迎えないの?」 そんなふうに声をかけられて、胸がちくりと痛んだ経験はありませんか。悪気のない言葉だとわかっていても、まだあの子を想って泣いている日々に、次の話をされるのは、つらいものですよね。
そして、心のどこかで「新しい子を迎えるのは、あの子への裏切りではないか」と、ひとりで迷っている方も、きっと多いと思います。今日は、そんな迷いに、そっと寄り添いたいと思います。

周りの言葉に、焦らなくていい
「また飼えばいいじゃない」「次の子がいたら、元気になれるよ」 そうした言葉は、あなたを励まそうとする、やさしい気持ちから出ていることが多いものです。けれど、悲しみのなかにいるときは、その言葉が「早く立ち直りなさい」という、プレッシャーのように聞こえてしまうことがあります。
そう感じるのは、あなたの心が冷たいからでも、気にしすぎだからでもありません。それだけ、あの子との別れを、真剣に受け止めている証です。周りの言葉に合わせて、気持ちを急ぐ必要は、まったくありません。
遺骨の保管にも、正解や期限はない
あの子の遺骨を、どうするか。お墓や納骨堂に納めるのか、それとも、おうちで大切に守るのか。これも、迷う方が多いことのひとつです。でも、これにも、決まった期限や、ひとつだけの正解はありません。
しばらくおうちでそばに置いておきたいなら、それでいいのです。小さな骨壺や、アクセサリーにして身につける方法など、いまは、いろいろな形があります。「いつまでに」と、自分を急かさず、あの子と心が離れたくないあいだは、そばにいてもらって大丈夫です。

新しい子を迎えることは、裏切りではない
新しい子を迎えようか迷うとき、多くの方が「あの子を忘れてしまうようで、申しわけない」と感じます。でも、新しい子を迎えることは、前の子を忘れることでも、裏切ることでもありません。
新しい子は、あの子の代わりではなく、新しく出会う、もうひとつの大切な命です。私自身は、大切な子を見送ってから、数年たって、今の子を迎えました。犬種はちがうのに、亡くなった子と同じ柄で、「あの子が、また来てくれたのかな」と、思わず感じたのを覚えています。もちろん、同じ子ではありません。それでも「ちがうけれど、同じみたい」という不思議なつながりを、今も感じています。
似ていても、ちがっていても、その子はその子です。どんな出会いも、すてきな出会いです。そして、グリーフケアを学んで思うのは、「しっかり、いっぱい悲しんでから迎えるのがいい」ということです。悲しみをあと回しにして、次の子で埋めるのではなく、あの子への気持ちと向き合う時間を持つ。そのうえで迎えた子とは、あの子の思い出と一緒に、あたたかく暮らせるように思います。
もちろん、これは私が感じていることで、正解ではありません。迎えないという選択も、同じように大切です。いつ、どうするかは、あなたの心だけが決めていいことです。
おわりに
新しい子を迎える時期や、遺骨をどうするかに、期限も、正解もありません。周りの声よりも、あなた自身の心の声を、いちばん大切にしてあげてください。悲しんでいる時間は、あの子への愛情を、あらためて感じている、大切な時間です。その時間を、どうか急がずに、たっぷり使ってくださいね。
そして、いつか「迎えたい」と思える日が来たら、あの子も、きっとやさしく見守ってくれています。あなたは、ひとりではありません。
室長 大和
