はじめに
「いつまでも悲しんでいちゃいけない」「早く忘れて、前に進まなきゃ」。
大切なあの子を見送ったあと、周りからの言葉や、自分自身の心の声に、そんなふうに追い立てられてしまうことはありませんか。でも、悲しみから立ち直ることは、決して「忘れること」ではありません。
今日は、「継続する絆(コンティニューイング・ボンズ)」という考え方から、姿は見えなくなってもつながり続ける、新しい関係のかたちについてお話ししたいと思います。

「忘れること」が立ち直りだった、昔の考え方
昔は、悲しみから立ち直るためには、亡くなった存在への気持ちを少しずつ断ち切って、忘れていくことが良いとされていた時代がありました。そのため、「いつまでも思い出しているのは良くないこと」と感じてしまう方も、いまだに多くいらっしゃいます。
けれど、近年では、その考え方が少しずつ見直されています。悲しみの中にいる人にとって、「忘れなさい」という言葉は、かえって心を苦しめてしまうことがあるからです。
「継続する絆」とは、姿が見えなくても続く関係
「継続する絆」とは、亡くなったあとも、心のなかで、その存在とのつながりを持ち続けていいという考え方です。
姿は見えなくなっても、あの子との関係が、そこで終わってしまうわけではありません。思い出すこと、話しかけること、大切に想い続けること。そのすべてが、あなたとあの子の「新しい関係」の、はじまりなのです。
亡くなったから終わりではなく、かたちを変えて、続いていく。そう考えると、少しだけ、気持ちが軽くなりませんか。

今日からできる、あの子とのつながり方
絆を続けていく方法は、特別なことではありません。たとえば、お気に入りの写真を、目につく場所に飾ること。あの子が好きだったおもちゃや首輪を、そっとそばに置いておくこと。ふとしたときに、「今日はこんなことがあったよ」と、心のなかで話しかけること。
あの子に宛てて、手紙を書いてみるのも、すてきな方法です。感謝の気持ちも、伝えそびれた言葉も、書いているうちに、少しずつ心のなかが整理されていきます。
命日やお誕生日に、好きだったおやつをお供えしたり、あの子の動画に話しかけたりもいいですね。大切なのは、「こうしなければならない」という決まりがないことです。あなたが「これならできそう」「これをしていると、あの子を近くに感じる」と思えることが、あなたにとっての、いちばんの方法です。無理なく、自分のペースで、あの子との新しい関係を、育てていってくださいね。
おわりに
あの子を想い続けることは、前に進めていないわけではありません。
それは、あの子との絆が、今も続いているということです。「早く忘れなきゃ」と、自分を急かさなくて大丈夫です。あの子の写真や動画を見て笑ったり、涙したり、話しかけたり。そのひとつひとつが、あの子と一緒に歩いていく、あなたなりの道のりです。どうか、お空のあの子との新しい関係を、これからも大切に育ててくださいね。
室長 大和

